補聴器の3か月貸し出し期間に何をする?

補聴器を使いこなせるようになるまで – その二

難聴の方の脳は、音の少ない環境に慣れてしまい、音を処理する機能が低下します。補聴器を装着すると、突然多くの音が聞こえるようになりますが、脳がすぐに順応できるわけではありません。

しかし、脳には「神経の可塑性」という適応能力があり、新しい状況に合わせて神経回路を再構築することができます。補聴器の使用は、時間をかけて「聞こえにくい脳」から「聞こえる脳」に変化させるプロセスなのです。

補聴器に慣れるためには、脳にさまざまな音を聞かせ、順応させることが重要です。以下の3つのポイントを意識しましょう。

1. 徐々に音量を上げる

補聴器を装着すると、最初は音が大きく感じることがあります。そのため、初めは少し小さめの音量から始め、脳を慣らしながら段階的に音を大きくしていくのが理想的です。

2. 毎日できるだけ長く使用し、様々な音を聞く

• 日常生活の音に慣れる

朝から晩までできるだけ長く補聴器を装着し、食器の音、水の流れる音、話し声など、さまざまな音を聞くことが大切です。

• 自分の声を聞く練習をする

補聴器をつけると、自分の声が違って聞こえることがあります。本を音読するなどして、脳が自分の声を再学習することで違和感が減ります。

3. 定期的に補聴器販売店で調整を行う

補聴器の音量や設定は、使用に伴い最適化が必要になります。定期的に補聴器販売店に通い、その時々の聞こえの状態に合った調整をしてもらいましょう。

補聴器を効果的に使うためには、ご本人の意欲だけでなく、家族や周りの方の協力も不可欠です。

• 大きな声ではなく、普通の声でゆっくり話しかける

• 耳元の補聴器に向かってではなく、正面から口元を見せて話す

• 普段よりも少しだけゆったりとしたスピードで話すことで、聞き取りやすさが向上します

補聴器は単なる音を増幅する装置ではなく、脳を訓練するツールです。焦らず、前向きに取り組み、毎日の習慣として補聴器を活用することで、より快適な「聞こえ」を手に入れることができます。

自分だけが頑張るのではなく、ご家族や周りの方と一緒に、積極的な姿勢でトレーニングを頑張っていきましょう。 補聴器の効果や、使いこなせるか等不安がある方は、まずは最長3か月の補聴器の貸し出しで『きこえリフレッシュプログラム』を試してみてはいかがでしょうか。

桑名市 補聴器の新光堂 認定補聴器技能者 吉原育代